Clinical Aspects of Penicilliosis, a Rare Infection

1993 
急性白血病に合併したPenicillium citrinumおよびPenicillium spp. による感染例を報告すると共に, Penicillium感染例を集計分析した結果を報告する.Penicillium感染症例は本邦例3例を含めて65例が報告されている. 検出菌種別ではP. marneffei40例, P. crustaceum5例, P. citrinum3例, P. chrysogenum2例などであった. 報告例を国別に集計すると中国12例, タイおよびアメリカ合衆国が各11例, 香港10例, ナイジェリア4例, 本邦とフランスが各3例, イギリス2例であった. 中国, タイおよび香港はP. marneffeiの流行地であり報告例も多かったほか, これらの地域を旅行して感染した症例が4例認められた. 基礎疾患別ではAIDS, 白血病, 貧血・リンパ節腫脹・肝脾腫大など免疫機構の破綻を伴った症例が多く見られた. 病型別では全身播種型が34例あり, そのうち33例がP. marneffeiによる感染であった. 気管支肺型19例では, 組織侵入型が17例, アレルギー性気管支肺ペニシリウム症が1例, 菌球形成が1例であった. 角膜および眼内炎が5例に見られた.65例中29例が, Penicillium感染が原因で死亡し, 27例が軽快していた. 治療にはamphotericin Bを主体としてflucytosineあるいはazole系薬剤の併用が多く用いられていた.Penicillium spp. は空中真菌の中でも多いものであり, 免疫不全状態下の症例に合併する疾患として, 今後注目すべきものと考えられた.
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