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    Crystal structure of a glycosynthase mutant (D233Q) of EndoS, an endo-beta-N-acetyl-glucosaminidase from Streptococcus pyogenes
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    多くのエキソ型のグリコシダーゼは加水分解活性とともに糖転移活性を持つことが知られている。しかしながら、複合糖質に作用するエンドグリコシダーゼの糖転移活性についてはあまりよく研究されていない。エンドグリコシダーゼの糖転移反応については Flavobacterium meningosepticum の Endo-β-N-acetylglucosaminidase (Endo-F) において初めて報告された。即ち、この酵素によってMan6GlcNAc2Asnのキトビオース結合が切断される際に高マンノース型糖鎖 (Man6GlcNAc) がグリセロールへ転移されることが示された。これはグリセロールの存在下では Endo-Fによって遊離されたオリゴ糖鎖に還元末端が見出されないという結果から明らかになった。ArthrobacterprotophormiaeのEndo-β-N-acetylglucosaminidase (Endo-A) もまた糖転移活性を持つことが見出された。4-L-アスパルチルグリコシラミン (GlcNAc-Asn) の存在下でMan6GlcNAc2Asnに Endo-Aを作用すると加水分解産物 (Man6GlcNAc) と糖転移産物(Man6GlcNAc2Asn) が共に生成する。Man6GlcNAc2Asnの加水分解により生成したMan6GlcNAcは糖転移反応により、予め脱糖鎖されてGlcNAc残基のみが残っているリボヌクレアーゼBにも転移される。この様に、もとのリボヌクレアーゼに存在するヘテロなN-グリコシド結合糖鎖がMan6GlcNAcの構造の糖鎖に置き換わり、Endo-Aの糖転移活性によって均一な糖鎖を持つネオリボヌクレアーゼが合成された。この酵素はアセトンの存在下で糖転移活性が非常に高められた。高マンノース型のN-グリコシド結合糖鎖のみならず複合型糖鎖にも作用する Mucor hiemalis の新規な Endo-β-N-acetylglucosaminidase (Endo-M) も糖転移活性を有していた。この酵素はヒトトランスフェリンの糖ペプチドのシアロ複合型糖鎖をGlcNAc-Asn基を有する適当な受容体に転移することができた。また Endo-Mの糖転移反応を利用して peptide T-GlcNAcのようなGlcNAcを含む合成ペプチドにシアロ複合型糖鎖を付加することができた。この糖転移反応の生成物はプロテアーゼによる分解に対して非常に抵抗性を持つことが確かめられた。Diplococcus pneumoniae の Endo-α-N-acetylgalactosaminidase は糖転移活性とともに逆加水分解活性をも持つことが示された。Galβ1→3GalNAcα1→Ser/Thrの構造の糖鎖を持つアシアロ糖タンパク質にグリセロールの存在下で本酵素を作用するとGalβ1→3GalNAcα1→1(3)-glycerol が生成された。さらにD-グルコース、D-ガラクトース、p-ニトロフェノール、スレオニンおよびセリンなどは逆加水分解反応の良い基質 (受容体) となった。ヒルや Corynebacterium sp. の Endoglycoceramidase (ceramide glycanase) も糖転移活性を有することが見出され、種々のスフィンゴ糖脂質の糖鎖をそのままの形で適当な受容体に転移することができた。これらの酵素はGM1の糖鎖を長い炭素鎖を持ったさまざまな1-アルカノールに転移した。これらの酵素の糖転移活性はネオグリコリピッドや新規なアルキルグリコシドを合成するために有用となるであろう。
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