カンボジア・プノンペン市における結核/HIV重複感染対策活動の導入

2011 
背景カンボジアでは、結核/HIV重複感染対策が重要視されている。特に首都プノンペン市は結核患者中のHIV有病率が国内で最も高く、国家結核対策プログラムはパイロット地域の一つとして結核/HIV対策活動を導入した。活動2005年は各保健行政区病院(4ヶ所)に月に1,2回カウンセラーを派遣して結核患者向けのHIVカウンセリングと検査を行うようにし、患者へ交通費を支給したが、このサービスを利用した結核患者は月平均10.3人(0-21人)に過ぎなかった。そこで、この活動にかえて2006年1月より、各保健行政区から1人ずつ選出した結核スタッフを結核/HIVコーディネーターに任命して、HIVカウンセリングに関するトレーニングを受けてもらい、彼らによる公的医療機関の結核外来・病棟でのHIVカウンセリングと検査活動を開始した。その後、同年4月から11月に本活動や同市における結核/HIV活動全体の現段階での問題点を把握するために、市内18の公的医療機関で働く結核/HIVコーディネーター以外の一般結核スタッフを対象として半構造化面接調査を行い、この結果から、活動の修正すべき点や新たに導入すべき活動を考察した。結果結核スタッフたちはDOTSの機会を用いて結核患者に結核/HIVコーディネーターによるHIV検査を受けるように促していたが、一部の結核スタッフは自分たちのHIVに対する知識が不十分と感じており、患者にHIVテストに関する説明をすることに不安を抱いていた。HIV陽性の結果がでた者をHIV治療の場へ紹介する確立されたシステムはなく、すべての結核スタッフは重複感染患者のHIV治療に関してHIVクリニックと情報共有する機会がないと答えていた。考察結核/HIVコーディネーターが結核治療と同じ場で、結核患者にHIVカウンセリングと検査を行うサービスを開始したが、現場の結核スタッフがHIVテストに関する説明をすることに自信を持っていない、結核-エイズ両サービス間の連携の不足と言った問題点も浮かび上がった。これらを解決するために、結核スタッフへのトレーニングや患者向け教育資材の開発、結核-HIVサービスに関わる者たちが集まる定期的なミーティングの開催、結核/HIVコーディネーターに各保健行政区における結核/HIV活動を監督する任務を与える等のさらなる活動の付加が必要と考え、導入することにした。
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