EPO responsiveness in hemodialysis patients with excessive ferritin
2011
透析患者のESA反応性には,炎症,栄養状態,二次性副甲状腺機能亢進症,鉄代謝の状態等のさまざまな背景が影響を及ぼすと考えられている.近年,hepcidin-25が造血反応での鉄利用障害の要因の一つであるとの報告もあるがメカニズムに関しては不明な点も多い.本研究では,エポエチンベータ(EPO)による貧血治療中の透析患者のうち,過去半年間に2回以上,血清フェリチン値が100ng/mL以上を呈した29名を対象とし,患者をヘモグロビン(Hb)低値群(10g/dL未満)ならびにHb高値群(10g/dL以上)の2群に層別して,造血・鉄関連指標および炎症マーカーの群間比較を行い,造血反応に影響を及ぼす要因を検討した.その結果,hepcidin-25およびフェリチンはHb低値群で有意に高く(Hb低値群vs. Hb高値群,hepcidin-25:74.7±48.8 vs. 40.1±24.5ng/mL,p=0.018;フェリチン:257±148 vs. 140±61ng/mL,p=0.007),Hb低値群ではCRPが高い傾向を示し(0.41±0.55 vs. 0.14±0.23mg/dL,p=0.074),CRPとHbとの間に有意な負の相関が認められた.またHb低値群では網状赤血球比率(RET‰)が高い傾向を示したが(12.9±4.5 vs. 9.9±4.2‰,p=0.083),Hb上昇には反映されていなかった(9.4±0.6 vs. 10.5±0.5g/dL,p<0.001).本研究の結果,フェリチン100ng/mL以上のHb低値の透析患者では,高フェリチン・高hepcidin-25状態による鉄の囲い込み,またRET‰,CRPが高値を示す傾向から赤血球寿命の短縮,微小な炎症が起こっている可能性があり,それらがESA低反応の原因となっている可能性が示唆された.
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