multidetector-row CTにより鈍的腎血管損傷が描出された4例

2010 
鈍的腎血管損傷の診断におけるmultidctector-row CT(MDCT)の有用性に関する報告は少ない。今回,鈍的腎血管損傷がMDCTで描出された4症例を報告する。症例1:20歳,男性。左腎損傷(日本外傷学会腎損傷分類2008 IIIa (lM) H1),脾損傷,左肺挫傷を認めた。血管造影では血管外漏出像および仮性動脈瘤を認めたが,MDCTでは仮性動脈瘤は描出されなかった。症例2:58歳,男性。左腎損傷(IIIa (lM) H1)を認めた。血管造影およびMDCTでは血管外漏出像を伴うsegmental arteryが描出された。症例3:75歳,女性。左腎損傷(IIIb (lU) H2),胸部大動脈損傷を認めた。血管造影およびMDCTでは血管外漏出像を伴う腎動脈後枝が描出された。症例4:67歳,男性。右腎損傷(IIIb (rM) H2)を認めた。非選択的TAEおよび右腎摘出術を施行した。血管造影およびMDCTでは仮性動脈瘤と血管外漏出像を伴うsegmental arteryが描出された。これら4症例では鈍的腎血管損傷6損傷(血管外漏出像4例,仮性動脈瘤2例)が血管造影で確認された。そのうち仮性動脈瘤1例を除いた5損傷が最初のMDCTでも描出された。治療は全例に動脈塞栓術を行い,症例3と4では動脈塞栓術後に腎摘出術を行った。自験例では,MDCTは鈍的腎血管損傷を描出することが可能であった。
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