Relationship between Colonic Mucosal Blood Flow and Motility

1986 
大腸粘膜血流と腸管運動について,水素ガスクリアランス法によるわれわれの知見を中心に述べた。腸管粘膜血流が,単に腸管壁の運動のみによって規制されてはいないことを,食事負荷,喫煙実験,抗コリン剤,下剤および利尿薬投与与,腸管壁の伸展等との関連を中心に示した。過敏性腸症候群の症例の大腸粘膜血流の検討では,痙撃性便秘群では下痢群および正常対照群に比べて有意に低かったことから,粘膜血流は慢性的な病態では新たな平衡状態に達していることが示唆された。大腸の臨床の場において,未だ形態学が主流を占めており,粘膜血流をはじめとする生理学的な検討は重要視されていないように思われる。しかし,近年注目されている上部消化管における潰瘍の消長と粘膜血流に関する検討は,消化器病学の臨床の立場からはじめて成し得るものである。同様に,大腸においても,臨床家によって粘膜血流等の生理学的検討が,新たな展開を示すことが期待される。
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