A Case Report of Severe Urinary Retention and Meteorism during Flunarizine Administration.

1992 
脳血流障害改善剤である塩酸フルナリジン投与中に膀胱直腸障害により腎後性腎不全, イレウスを発症した稀な症例を経験したので報告する.症例は81歳女性. 全身倦怠感, 排尿困難を主訴に来院. 尿閉の状態であり, 導尿時の大量の排尿の他, 鼓腸, 軽度の筋強剛を認めた. 検査所見上, 腎不全 (BUN88mg/dl, Crt16.8mg/dl) を示した. 腹部レ線で高度の腸管拡張を認めたが, 画像診断, 膀胱鏡等では尿路, 腸管の器質的疾患は否定された. 1年間, 10mg/day投与されていた塩酸フルナリジンを中止し, 膀胱カテーテル留置, 輸液等により腎不全は速やかに改善. 直腸排ガスにて腸管拡張も次第に改善した. 約1カ月後には排尿排便とも正常化し, 筋強剛も徐々に消失し, 活動性も改善. 塩酸フルナリジンの血中濃度は入院時42.0ng/ml, 80日後17.9ng/mlであった. パーキンソン病において尿閉, 便秘など膀胱直腸障害が起こることが報告されており, 本剤の膀胱直腸障害もパーキンソン症候群の一貫として捉えられると思われた. 本剤の副作用として便秘, 尿閉の記載はあるが, 本例の如き重篤例は稀であり報告した.
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