A Case of Cardiac Infiltrating Lipoma in the Interatrial Septum

2004 
症例は75歳,女性.労作時胸痛を主訴に精査目的で当院を受診した.冠動脈造影検査で2枝病変を認め手術適応となるが,心臓超音波検査で心房間に最大径32mmの腫瘤像を認めた.腫瘤内部には血流エコーを認めなかった.CT検査では右房と左房の間に径35×40mmの辺縁明瞭な低吸収域を認め,そのCT値は-122 Hounsfield unitsで脂肪のCT値に相当した.MRI検査のT1,T2強調画像ともにこの腫瘤は高信号を示し,脂肪の信号強度と一致した.腫瘤に対する術前診断は脂肪腫を強く疑い,冠動脈バイパス術と腫瘍摘出術を同時に行った.腫瘍は右肺静脈入口部前方の心房間溝で右房方向に突出しており心房中隔まで連続した黄色の脂肪性組織であった.完全摘出に固執すると心房中隔を穿破し,手術が困難になる恐れがあったため,大動脈弁近傍の心房中隔内腫瘍組織が残存することを許容した.術後の病理検査で悪性所見はなく,成熟した脂肪細胞で構成された被膜をもたない浸潤性脂肪腫(infiltrating lipoma)と診断した.経過は良好で術後22日目に退院した.心房中隔に発生したinfiltrating lipomaはきわめて希であり,術前のCT検査とMRI検査,カラードップラー法を用いた超音波検査が質的診断に非常に有用であった.
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