Ni (II) -家蚕セリシン錯体の生成と二次構造

1994 
繭層重量の約25%を占めるセリシンを機能材料として応用展開するための, 基礎研究としてNi (II) イオンとの錯生成反応およびその二次構造への影響を調べた. pH滴定および電子スペクトル測定の結果, pH 9~9.5付近から錯体生成を示す435, 240nmの吸収ピークが出現し, さらに, 約pH 10.5以上ではNi (II) 1イオン当たり約4個のH+が放出されたことより, Ni (N) 4錯体の生成が確認された. この反応は反応種のモル濃度比 [Ni (II) ] T/ [HL] Tが0.07以下では化学量論的に進行するが, それ以上ではペプチドの立体障害により定量的に進まなくなった. pH 11.5で生成したNi (II) -セリシン錯体水溶液の還元粘度, および固体試料のFr-IR, X線回折測定より, セリシンの二次構造は, 錯体化することでランダム構造を有することが分かった. また, pH 11.5で錯体化したセリシンの初期熱分解によるDSC発熱ピークが18℃高温側にシフトしたことから, ペプチドのNi (II) イオンへの配位により熱的に不安定な結合部分が保護されることにより, 初期熱分解に対する熱安定性が向上した.
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