A Case of Safely Resected Pancreatic head Cancer Associated with Atherosclerotic Stenosis of Superior Mesenteric Artery

2010 
症例は67歳の女性で,慢性関節リウマチで通院中に血液生化学検査で閉塞性黄疸を指摘された.腹部dynamic CTで膵頭部に3.5 cmの低吸収域を認め,また上腸間膜動脈根部に4 cm長の著明な狭窄と胃十二指腸動脈からの膵頭動脈アーケードの代償性拡張を認めた.開腹生検で腺癌の確診を得た後,膵頭十二指腸切除術(pancreaticoduodenectomy;以下,PD)の方針となった.まず,上腸間膜動脈根部および各分岐のテーピングを行い,ドップラー血流計にて血流を測定した.下膵十二指腸動脈,第一空腸動脈をクランプしても上腸間膜動脈末消の血流低下を認めず,これらを結紮切離した後にPDを施行した.切除後は中結腸動脈から逆行性の血流供給を認めた.術後経過は良好で,第20病日に軽快退院した.本症例はPD後の腸管虚血が懸念されたが,上腸間膜動脈分枝の先行処理により血流が保たれることを確認したうえで安全に切除することが可能であった.先行処理は有用な手法であると考えられた.
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