肝疾患患者血清中β-glucuronidase酵素タンパク量の測定-肝細胞壊死の指標としての意義

1990 
肝細胞障害の指標として血清学的にトランスアミナーゼ値が広く用いられているが,この値は比較的軽微な肝細胞障害でも上昇するため,肝組織での実際の肝細胞壊死の程度を反映しない場合もある.本研究では血清中β-glucuronidase酵素タンパク量の変動を知ることが肝細胞壊死の指標として有用であるか否かを検討した.各種肝疾患患者血清中のβ-glucuronidase酵素タンパク量を測定した結果,慢性活動性肝炎・肝硬変・肝癌で有意に増加していた.さらに慢性肝炎31例で組織学的な肝細胞壊死の程度と,β-glucuronidase酵素タンパク量,トランスアミナーゼ値との相関を調べたところ,肝細胞壊死の程度とトランスアミナーゼとの間には有意な相関は見られなかったが,本酵素タンパク量との間には有意な正の相関を認めた.従って,β-glucuronidase酵素タンパク量の測定は,肝細胞壊死の程度を推定するうえで有用であることが明らかになった.
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