現在の最適薬物治療―ACEI/ARB,β遮断薬,ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬,利尿薬をどう使い分けるか
2018
現在,心不全の診療は左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)と左室駆出率が維持されている心不全(HFpEF)に分けて考えられており,HFrEF における薬物療法では,アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)/アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB),β遮断薬,ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)の予後改善効果が大規模臨床試験で確立されているが,HFpEF においては大規模臨床試験で予後改善効果が確認された薬物はいまだ存在していない.利尿薬に関しては慢性心不全と急性心不全に分けて考える必要があり,既存の利尿薬で慢性期長期予後を改善するエビデンスをもつ薬剤は存在しない.利尿薬は急性期にうっ血症状を改善する目的で投与し,必要最低限の範囲に留めておくのがよいであろう.またフロセミドは,強力な利尿薬であるがゆえに交感神経賦活化作用があり,心不全慢性期に利尿薬が必要な症例においては長時間作用型ループ利尿薬などを検討することが望ましい.今後,アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)やivabradine といった新しい心不全治療薬がわが国で使用可能となるため,HFrEF のさらなる予後改善効果のみならず,HFpEF の予後改善効果が期待される.
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