Three cases of acute pancreatitis in long-term hemodialysis

1989 
慢性腎不全患者に膵障害の発生率の高いことが剖検により報告されているが, 本邦での慢性透析患者に急性膵炎を発症した報告例は比較的少ない. 我々は慢性血液透析の経過中に急性膵炎を発症した3例を経験したので報告する. 3症例は臨床症状 (嘔気, 嘔吐, 心窩部痛, 発熱), 血清膵酵素の上昇 (アミラーゼ700SU以上, 膵成分80%以上), および膵腫大 (腹部超音波検査, CT) より急性膵炎と診断された. 2症例は中心静脈栄養, 短時間頻回透析 (5と7日間) を施行した. 3例とも抗生物質, 蛋白分解酵素阻害剤の投与を行なった. 2例は完全寛解したが1例は膵炎再発後11日にグラム陽性菌による心筋炎に伴う心不全のため死亡した. 急性膵炎発症の成因の可能性としては2例で高カルシウム血症が, 1例で副甲状腺機能亢進症が疑われた. 以上, 血液透析患者に発生した急性膵炎の3例を提示した. 透析療法の長期化に伴い種々の合併症の増加が予測され, 急性膵炎もそのひとつと考えられる. その成因についてはいまだ不明の点も多いが, 血液透析患者には膵炎発症の誘因が多数存在し, また膵炎は発症すると重症化する例もあるため, 発症の早期発見と充分な治療が必要と思われた.
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