Thyroid carcinoma mimicking adenoid cystic carcinoma-a case report-

2003 
背景:節状構造および粘液球 (あるいは硝子球) は, 頸部領域では腺様嚢胞癌をはじめとした唾液腺腫瘍を示唆する所見である. 今回われわれは, 穿刺吸引細胞診で節状構造・粘液球を認め, 腺様嚢胞癌との鑑別に苦慮した甲状腺癌の1例を経験したので報告する.症例:患者は77歳女性.慢性腎不全に対する透析導入目的で入院した際, 右頸部腫瘤を発見された. 画像上, 甲状腺右葉内に直径3cmの腫瘤があり, 右頸部リンパ節, 両側肺には多発転移が認められた. 穿刺吸引細胞診では, 甲状腺腫瘤とリンパ節の検体は同様の細胞像を示していた. 腫瘍細胞は集塊を形成し, 集塊内には節状構造や粘液球が認められた. 腺様嚢胞癌が疑われたが, 唾液腺に原発巣はみつからなかった. 針生検標本でも同様に, 腫瘍細胞は筋状構造を形成していたが, 腫瘍細胞間にはコロイド様物質を含む微小濾胞が散見された. さらに, 免疫組織化学的にも腫瘍細胞はthyroglobulin, thyroid transcription factor-1 (TTF-1) に陽性であったため甲状腺癌と診断した.結論:頸部腫瘍の細胞診像で節状構造や粘液球が認められたときは, 腺様嚢胞癌をはじめとする唾液腺腫瘍が強く疑われる.しかし, 本例のように甲状腺腫瘍でもこれらの所見が出現することがあるので, 臨床像, 検査所見を総合的に判断する必要がある.
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