A case of a primary effusion lymphoma in the elderly

2009 
超高齢男性に発症した原発性滲出液リンパ腫の一例を経験したので,文献的考察を加え報告する.症例は糖尿病を合併する90歳男性.高度のAlzheimer型認知症のため寝たきりとなり経管栄養を受けていた.数日前から発熱が続くため近医受診したところ,胸部レントゲン写真上,片側性の大量胸水が認められたため,当科に緊急入院となった.胸水の塗抹細胞診標本にてclass Vの形質細胞様異型リンパ球が孤立散在性に認められた.しかし,胸水細胞のフローサイトメトリーでは,モノクローナルな細胞増殖が確認されず,炎症性変化としても矛盾しない所見であった.全身状態を鑑み,積極的な精査加療は施行せず,呼吸不全が進行し第45病日に死亡した.病理解剖の結果,右胸腔以外の諸臓器には腫瘍性病変は認められず,右胸水サンプルから作製したセルブロック標本の免疫染色において,CD30陽性,ヒトヘルペスウイルス8(HHV-8)関連タンパク陽性の腫瘍細胞が認められ,PCR法によるDNA解析においてもHHV-8 DNAが検出された.また,免疫グロブリン重鎖可変領域に対するPCRによる解析では,免疫グロブリン重鎖遺伝子のモノクローナルな再構成が認められたことより,B細胞系のリンパ腫であることが明らかとなった.これらの所見より,原発性滲出液リンパ腫(PEL)の診断に至った.PELは,体腔内で腫瘍塊を形成することなく増殖する,HHV-8に関連した稀な悪性リンパ腫の亜型である.本疾患は後天性免疫不全症候群などの免疫不全状態の患者に発症することが多いが,本症例のような高齢者での発症もみられる.原因不明の胸水を示す高齢者において考慮すべき疾患のひとつとして,今後さらにその重要性が増すと思われる.
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