Heat shock protein 90による免疫応答増強効果の臨床応用をめざして

2010 
悪性腫瘍に対する新しい治療法として癌免疫療法が注目されている。なかでも癌ワクチン療法は癌細胞に特異的な細胞傷害性リンパ球を誘導することを目的としているが,この免疫応答を増強する方法が重要となる。われわれは,分子シャペロンとして知られるHSP90 がアジュバントとしての能力を有する分子であることを示した。外来性に投与したHSP90-抗原ペプチド複合体はMHC classI分子に抗原提示される,いわゆるクロスプレゼンテーションされ細胞傷害性T リンパ球を主体とする獲得免疫を効率よく誘導し,腫瘍縮小効果を増強することを担癌マウスで証明した。さらにHSP90 には時間的・空間的制御能を有しており,結合した分子を初期エンドソームに長時間とどめるように制御している。これらの能力を利用した免疫応答が調節可能であり,抗腫瘍免疫を賦活できることが示唆された。
    • Correction
    • Source
    • Cite
    • Save
    • Machine Reading By IdeaReader
    0
    References
    0
    Citations
    NaN
    KQI
    []