BOR-60照射試験用上部端栓付ODS鋼被覆管の製造 -溶接条件設定試験、装置改造及び端栓溶接-

2003 
ODS鋼被覆管の実用化見通しを早期に判断するため、日露共同研究としてロシア原子炉科学研究所(RIAR)の高速炉実験炉BOR-60を用いた照射試験が計画されている。この共同研究に使用する燃料ピンの燃料設計はRIAR側が行い、製造についてはサイクル機構側がマルテンサイト系、フェライト系2鋼種のODS鋼被覆管と端栓棒材の製造、上部端栓製作、加圧抵抗溶接法による上部端栓溶接及びRIARまでの輸送を分担し、RIAR側が振動充填燃料ピンの製造と照射を分担する。このサイクル機構側の製造分担において、上部端栓の製造、ODS鋼被覆管への上部端栓溶接及び製品検査が東海事業所の所掌範囲となる。抵抗溶接による上部端栓溶接においては、被覆管や端栓形状変更による溶接条件の決定に加え、長尺被覆管溶接のための装置改造、ハンドリングを含めた長尺被覆管溶接工程確立、製品検査のための品質保証法の確立といった課題に取り組んできた。特に長尺被覆管の溶接において、溶接時の加圧により被覆管にたわみ変形が発生し、溶接不良を引き起こすという問題が生じたが、装置改造において被覆管コレットチャックと加圧受けの距離を短くすることと溶接機の内部空間にスリーブを入れて被覆管のたわみを抑えることでこの問題を解決した。また、被覆管の内面状態、内面に残存する欠陥及び再結晶度合いのバラツキによる溶接欠陥の発生という問題に対しても、溶接端面の内面研磨と超音波による斜角探傷及び超音波波形確認により対処法を確立した。この他にも溶接部の残留応力を除去するための熱処理等を含めた試験を行い、ODS長尺被覆管の上部端栓溶接を実施した。品質保証体制については、大洗工学センターが制定した品質保証計画書を基に常陽における要領書を参考とした製造要領書等を策定し、それに基づき製品製作及び検査を実施した。これらの品質保証方法は、今後、常陽での照射試験を行う上で参考となると考える。 尚、上部端栓付被覆管は、2002年12月3日に大洗側の検査に合格し、12月13日に出荷、2003年1月10日にRIARに到着している。
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