根治的化学放射線療法でCR が得られた皮下膿瘍を伴う異時性頸部食道癌の1 例

症例は68 歳，男性。既往歴:十二指腸潰瘍による幽門側胃切除，高血圧，陳旧性脳梗塞を認めた。胃切除後の食道癌と残胃癌に対し，術前化学療法後2002 年1 月に根治術を施行した。食道癌はMt，CT-0-Ⅱb，pT1a-LPM，ly0，v0，pN0，pM0，pStage 0，胃癌はL，0-Ⅱc，ypT0，pN0，pM0，Grade 3 pathological complete response（CR）であった。術後無再発であったが2015 年4 月に皮下膿瘍，椎体浸潤，左内頸静脈浸潤を伴う異時性頸部食道癌（cT4b，cN0，cM0，cStage ⅣA）が発生し，膿瘍に対する切開ドレナージ，抗生剤投与後に化学放射線療法［60 Gy＋FP 療法（5-FU 700 mg／m2 day 1〜5，CDDP 70 mg／m2 day 1）］を施行した。腎機能低下のためweekly paclitaxel（100 mg／m2）に変更し，2 コース後にCR が得られた。その後は化学療法を中止したが，8か月経過した現在無再発生存中である。