Intermanual conflict を呈した左前部帯状回—脳梁病変の1例

1990 
左前部帯状回—脳梁 (膝—幹) の梗塞性病変により,右手が患側となるintermanual conflictを呈した症例を報告した。症例は,77歳,右利きの女性。右上下肢不全片麻痺で発症し, CT scan及びMRIで上記の病巣が確認された。運動麻痺の改善と共に,右手の本能性把握反応が明らかになった。更に,左手が行おうとする行為を右手が強迫的に妨害するというintermanual conflictが認められた。患者自身は,右手が自分の意志に従わないことを自覚していたが,右手の妨害行為を抑止することはできなかった。「道具の強迫的使用」は認められなかった。 従来, intermanual conflictの際は左手が患側になるとされるが,本例は従来の見解とは異なり,右手を患側とする症例が存在することを示すものである。本例のintermanual conflict は,右手の運動調整機能障害によるものと考えられ,この症状の出現には,上記の病変が関与すると考えられた。
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