ラットの体内アスコルビン酸量およびアスコルビン酸合成酵素活性に及ぼすD-ガラクトノ-γ-ラクトン投与の影響

1989 
ラットにおいて,L-ガラクコノ-γ-ラクトンからはアスコルビン酸(AsA)が生合成されるが,その光学異性体であるD-ガラクトノ-γ-ラクトン(GL)からのAsA合成は全く認められない.そこでこのGLがAsA合成の拮抗的阻害体としての作用を有するか否かを検討するため,0.5%および4.0%GL添加飼料を2週間給与し,体内AsA量およびAsA合成酵素活性に及ぼす影響について調べた.GL添加飼料の給与により,飼料摂取量は減少する傾向を示したが,体重はほぼ一定値を保った.肝臓,腎臓,脾臓および副腎の重量についても,GL投与による変動はほとんどみられなかった.また,AsA拮抗体として知られているD-グルコアスコルビン酸の投与によってあらわれる壊血病様の症状は,GL投与によっては外見上全く認められなかった.血漿,肝臓,腎臓および脾臓のAsA濃度は,GL添加飼料給与の影響をほとんど受けなかったが,副腎のAsA濃度はGL添加量の多い場合には低く,4.0%GL添加区では有意に低下した.なお,これらの体内AsA量の測定結果からは,GLを投与されたラットがAsA欠乏状態に至っているものとは判断されなかった.肝臓のAsA合成酵素活性に対して,GL投与は,0.5%の添加量ではほとんど影響を及ぼさなかったが,4.0%の添加量ではその活性を減少させた.以上の結果から,GL添加飼料の給与は,ラットの体重,臓器重量ならびに血漿,肝臓,腎臓および脾臓のAsA量にはほとんど影響を及ぼさなかったが,副腎のAsA量および肝臓のAsA合成酵素活性を減少させることが明らかになった.しかし,GLにはD-グルコアスコルビン酸と同じようなAsA拮抗作用はほとんど認められなかった.
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