慢性肝疾患に合併する脾腫の機序について:99mTc-GSAシンチグラフィ早期動脈相における単位体積あたりの脾/肝カウント比と脾容積との関係

2007 
慢性肝疾患に合併する脾腫は,脾動脈血流量の増加が関与している.しかし,慢性肝疾患においてなぜ脾動脈血流が増加するのかは定かではない.今回,脾と肝の単位体積あたりの血流量比を求め,脾容積との関係を検討した.対象は,99mTc-GSAシンチグラフィを施行し静注30秒後までの脾と肝の放射能活性比を算出し得た慢性肝疾患29例である.脾容積はCTで長径,短径,頭尾径を測定し,擬似脾臓容積として算出した.その結果,慢性肝疾患における擬似脾容積は,対数正規分布の傾向にあった.単位体積あたりの脾/肝カウント比(脾/肝動脈血流量比)とlog(擬似脾容積)との間に正の相関関係(r=0.558)が認められた.以上より,慢性肝疾患に合併する脾腫の高度例と軽度例とでは,脾と肝の実質を灌流する動脈血流バランスが異なっていることが判明した.すなわち,脾腫が強い程,肝に対する脾の単位体積あたりの実質灌流動脈血流量は増加していた.慢性肝疾患に合併する脾腫の成因には,肝の動脈性血流動態も関与している可能性があると考えられた.
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