くすりが関係する患者に対して好ましくない作用:副作用か有害反応か―視点が違えば名称も異なる

2014 
◎医薬品は多くの疾病の治療と症状緩和に絶大な威力を発揮するが,同時に患者にとって好ましくない作用を生じることがある.従来は処方者の治療目的に合致した薬理作用を“主作用”というのに対して,目的としない作用ということで“副作用”といわれてきた.しかし,医療のあり方が患者主体となるにつれ,処方者に薬物投与との因果関係の確立を求めず,医薬品の投与中に生じた,すべての患者にとって好ましくない作用を総称して“有害事象(反応,経験)”の名称を使用して医薬品開発にかかわる臨床試験(治験)や市販直後調査における調査が行われている.有害反応の機序については,薬物消失過程に関与する臓器(肝,腎)の機能不全,薬物動態機能分子(薬物代謝酵素,薬物トランスポーター)の遺伝子多型に基づく機能低下あるいは亢進と薬物応答性を支配する薬物標的分子の遺伝子多型に基づく感受性の変化が検討されている.ゲノム科学の技術革新により個人全ゲノムシークエンスが安価に行えるようになれば,有害反応へのアプローチは大きく変化する可能性がある.
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