高齢者女性にみられた肝癌合併皮膚筋炎(肝癌先行型)の1例

1992 
症例は80歳,女性.1973年より慢性肝炎,高血圧症,糖尿病にて通院中であったが,1987年1月原発性肝癌と診断し,肝動脈塞栓術(TAE)を施行した.同年3月より運動障害出現したため,当科へ入院した.入院時血液生化学所見,理学的所見ならびに皮膚生検の所見より,肝癌に合併した皮膚筋炎と診断した,ステロイドパルス療法を実施し,臨床症状,血液生化学検査所見は著しく改善したが,1988年2月肝不全にて死亡した.剖検では肝癌は広範囲にみられ,腹直筋の組織学的検索にて皮膚筋炎が確認された.本例は肝癌と皮膚筋炎の合併例としては,既報告例中もっとも高齢の女性であり,かつ肝癌先行型の皮膚筋炎としては本邦第1例目と思われる.皮膚筋炎の発症原因にウイルス感染説,自己免疫説などがあるが,本例はこれらの要因に加えて担癌,加齢による細胞性免疫の低下が関与して発生した可能性が示唆された.
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