MDCTにより術前に診断したpress through package誤飲による回腸穿通性腹膜炎の1例

症例は88歳の女性, 右下腹痛および38度の発熱を主訴に来院した. Multi-detector CT (MDCT) にてvolume rendering (VR) 像とmultiplanar reconstruction (MPR) 像を再構成して詳細な検討を行ったところ, 壁肥厚を有する回腸内にPTP (press through package) と思われる異物とその近傍にair bubbleを認め, 回腸穿孔または穿通による腹膜炎と診断した. 全身麻酔下に開腹し, 回腸末端から40cm口側にPTPと思われる突起物を触知し, 腸間膜への穿通を認めた. 一塊となった約30cmの回腸を切除し, 回腸同士の端々吻合を施行した. 誤飲されたPTPは位置によって治療方針が異なるため, MDCTを用いたVR像やMPR像で, 正確にPTPの場所を診断し, 穿孔や穿通が疑われた場合はすみやかに開腹手術を行うことが重要である. 消化管異物が疑われた場合には, 腹部MDCT検査が有用であると考えられた.