6.高齢者高血圧治療のQOL:生活習慣病のマネージメント

2007 
現在わが国では人口の急峻な高齢化を基盤に,高齢高血圧患者の急激な増加がみられる.一般に高齢者では身体的·知的機能の低下ならびに慢性疾患の合併などにより生活の質(Quality of Life:QOL)が低下しているが,高血圧を有する高血圧患者ではさらなるQOLの低下が認められている.QOLの評価にあたっては,様々な因子について自覚的および他覚的健康度の2つの軸により評価を行い,多次元からなる要素を包括的に捉える必要がある.高血圧治療の中心となる降圧薬のQOLへの影響についてこれまで様々な知見が集積されているが,降圧薬によってQOLへの影響が異なることに留意したい.また,脳卒中は寝たきりの最大の原因疾患として高齢高血圧患者のQOLを大きく障害するため,脳卒中の効果的な予防を心がけたい.最後に高血圧治療の有益性に関して,QOLは様々な要素と相互に影響しあい,その結果治療の有益性に影響する.そのため,その治療にあたっては特にQOLへの配慮が重要である.こうした各個人のQOLにも留意した高血圧治療は,生活習慣病のマネージメントとして重要である.今後大規模試験で高血圧治療の長期予後や臓器保護作用への影響の検討に加えて,QOLへの影響についてもエビデンスが蓄積し,さらに有益性の高い高齢者高血圧の治療が展開されることを期待したい.
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