S状結腸への直接浸潤を伴う虫垂Goblet Cell Carcinoidの1例

症例は73 歳，男性。検診の下部消化管内視鏡検査でS 状結腸の陥凹性病変を指摘され，生検はGroup Ⅴであり，S 状結腸癌の診断となった。手術では虫垂とS 状結腸に高度な癒着を認め，S 状結腸切除術および虫垂切除術を施行したが，病理検査では虫垂goblet cell carcinoid（GCC）のS 状結腸浸潤と診断された。本邦では虫垂GCC のS 状結腸浸潤の報告はなく，非常にまれな症例である。術後にリンパ節郭清を伴う追加手術を勧めたが患者の同意が得られず，術後補助化学療法としてcapecitabine＋oxaliplatin療法を8 コース施行し，現在2 年の無再発生存を得ている。虫垂GCC に対する術後補助化学療法は追加切除が難しい症例における有用な選択肢の一つと考えられる。