Fever and cervical lymphadenopathy in three patients with chronic renal failure
1984
過去1年間に発熱と頸部リンパ節腫大を伴う3例の慢性腎不全患者を経験した. 3例とも血沈値の著明な亢進があり, PPD反応も陽性で頸部リンパ節結核を強く疑った. しかしリンパ節生検の結果, 結核症は3例中1例のみであった. 1例は慢性非特異性リンパ節炎の所見を示し, 対症療法のみで軽快した. 第3例は45歳の男性で, 咽頭痛で発症し後発熱と頸部リンパ節腫大が加わった. 頸部のびまん性腫脹, 舌, 咽頭部の浮腫が著明で嚥下障害, 気道閉塞症状があった. 各種抗生物質の投与, 気管切開, 補助呼吸による呼吸管理等を, 血液透析を行いながら精力的に行ったが, 発症後3週目に呼吸不全で死亡した.頸部リンパ節の生検所見は藤本らによって1972年に提唱された亜急性壊死性リンパ節炎の所見に一致するるものであった. 剖検時には, 頸部には著明に腫大したリンパ節はみられず, 若干の小さいりンパ節を認めたが, 生検でみられたような壊死性炎症はみられなかった. 最も目立つ所見は喉頭, 咽頭, 気管およびその周辺の軟部組織の著明な浮腫を伴う壊死性炎症および化膿性炎症であった. 両側の肺にびまん性の出血があり, 直接の死因となったと思われる.亜急性壊死性リンパ節炎は, 若年者にみられる原因不明のリンパ節炎で予後良好であるとされている. 自験例が重症化し, 死の転帰をとったのは腎不全に伴う免疫不全が関与していると思われるが, PPD反応は強陽性であったことから細胞性免疫には問題はないものと考えられる.以上我々の経験した頸部リンパ節腫大を伴う3例の腎不全症例について報告したが, 生検診断の重要性を裏書きするものである. また亜急性壊死性リンパ節炎が腎不全患者に合併すれば, 重症化する可能性を考慮する必要があろう.
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