Differences in school forests by the conditions of location: from "present situation survey on school forest".

2010 
学校教育において森林教育をどのように展開するかを考える際に,その場として身近で有力な 存在が学校林である。ただし,大学や農業高校の演習林と違い,学校林には法的な定義は存在し ない。もっとも狭義の表現をするならば「学校が所有する森林」であるが,近年は学校と学校林 の関係の変化に伴い,その有りようも新たな議論が必要となっている。学校林は,明治期にさか のぼれば地域社会が提供した学校の基本財産として出発したが,現在では資金もしくは資材の供 給元としての役割を果たしている学校林は稀少となっている。この時代に伴う変化については, 竹本の議論に詳しいが 注 1),伝統的な学校林の役割としての財産利用や地域産業としての林業教 育が困難となる中で,ともすれば林業に関わる人材育成に矮小化されがちだった森林と教育の関 係についても変化が起きている 注 2)。 本稿では,学校教育における森林の新たな教育利用,すなわち教科教育,総合的な学習の時間, 特別活動等での環境教育,教科教育実施の施設として学校林を再評価して,その管理と利用の実 態を全国調査結果から把握することを目的とする。学校林の現況については,個別的な事例研究 はいくつかある他,石橋らによって関東地方の学校林についての研究があるが,全国の現況につ いての研究は存在しない 注 3)。本稿では,筆者が調査設計者として関わった全国規模の学校林現 況調査の結果を基に,立地と学校林の関わりという視点で学校林を取り巻く環境による利用や管 理状況の差異や問題点を明らかにする。 立地条件による学校林の相違と地域社会の関係: 2001年学校林現況調査の結果から
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