A Case of Successful Transaortic Endovascular Stent Grafting for Distal Aortic Arch Aneurysm with Severely Calcified Chronic Aortic Dissection

2005 
症例は74歳,男性.遠位弓部大動脈瘤を伴ったStanford B型の慢性大動脈解離を認め,瘤径が60mmと拡大してきたため,2004年4月26日左開胸にて手術を行ったが,遠位弓部大動脈から下行大動脈にかけて偽腔の高度石灰化が認められ,大動脈遮断ならびに吻合が困難であり,大動脈壁の石灰化部分を切除して吻合することも考慮されたが,吻合部から出血した場合の修復も難しいと判断された.また,切開創を腹部にまで延長し,石灰化の軽度な吻合可能部位を探すことは,慢性肺気腫による低肺機能を有することから過大侵襲と判断し手術を断念した.本症例では解離は横隔膜レベルで終了しさらに偽腔は完全に血栓閉鎖しており,胸骨正中切開による経大動脈アプローチでステント付き人工血管を瘤末梢側の真腔内に留置することによって瘤の完全な血栓化が図れると判断し,6月14日に再手術を施行した.循環停止下脳分離体外循環法を補助手段として経大動脈的にステント付き人工血管内挿術を行った.術後はエンドリークを認めず順調に経過した.本症例のようなhigh risk症例の慢性大動脈解離で偽腔の高度石灰化を有し末梢側吻合が困難な遠位弓部大動脈瘤あるいは大動脈壁の高度石灰化を認めるいわゆるporcelain aortaを伴った真性胸部大動脈瘤に対する治療法として本術式は侵襲が少なく重篤な合併症を回避できる有用な手技であると考えられた.
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