ラットの成長, 消化性, 滞腸時間に及ぼす大豆食物繊維素材の影響

1992 
大豆を工業的に脱脂, 脱タンパクする際に産生する残渣をDF源として見直し, この大豆DF試料 (P.P. 500S) をラットに投与し, 成長, 栄養素の消化吸収, DFの分解発酵, 食物残渣の滞腸時間に及ぼす影響についてオカラ (okara), 小麦フスマ (W.B.) と比較検討した。1) 各DF試料投与群ともDFによる成長の抑制は認められず, 良好な成長を示した。各栄養素のみかけの消化吸収率は, 各群間に著しい差はなく, いずれも100%に近い値を示した。一方, DFのみかけの分解率はP.P. 500S群83.5%, okara群62.8%, W.B. 群30.3%と顕著な差が開き, 各群間に有意差が認められた (p<0.05).2) DF-free群の盲腸内容物のpHは, ほぼ中性であったのに対し, DF試料添加の各群は有意に低いpH値を示し (p<0.05), P.P. 500S群ではpH 5.91を示した。盲腸内容物中の有機酸含量はP.P. 500S, okara, W.B., DF-freeの各群の順に多く, pHの低い順と一致した。P.P. 500Sの添加により生成が増加した有機酸は酢酸, 酪酸があげられ有用菌の増加が示唆された。3) 各DF試料を投与したラットにおける食物残渣の滞腸時間はP.P. 500S群38.0時間, W.B. 群34.3時間でDF-free群の53.9時間に比べ有意に短縮された (p<0.05)。以上のことより, P.P. 500Sは, ラットの成長ならびに栄養素の消化吸収に悪影響を与えることなく, 腸管内pHの低下, 食物残渣の滞腸時間の短縮といった有効な生理作用を示すことが認められた。
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