酸化ストレスによる核ゲノム恒常性破綻の分子病態── 8-オキソグアニンによる発癌と神経変性

2015 
◎グアニンの酸化で生じる8-オキソグアニン(8-oxoG)は,大腸菌や突然変異レポーターなどを用いた哺乳動物での研究から自然突然変異の原因として注目されている.著者らは8-oxoG の核ゲノム蓄積を抑制する3つの遺伝子(Mth1,Ogg1,Mutyh)のすべてを同時に欠損したTOY-TKO マウスの解析から,8-oxoG が体細胞と生殖細胞系列の自然突然変異の原因となることを明らかにした.TOY-TKO マウスではさまざまな臓器の自然発癌と遺伝性の先天性異常の頻度が顕著に上昇し,寿命が著しく短縮する.核ゲノムへの過度の8-oxoGの蓄積はMUTYH による塩基除去修復反応に依存して細胞死を引き起こすが,このMUTYH 依存性の細胞死はp53 による発癌抑制機構のひとつとして重要である.脳・神経組織では神経炎症応答で活性化されるミクログリアの核ゲノムに8-oxoG が蓄積するとMUTYH に依存してミクログリオーシスと酸化ストレスが亢進し,神経変性が進行する.
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