基礎の部 ● 演題 2デスミン心筋症マウスに対するニコランジルの心筋保護効果

2011 
デスミン心筋症は特発性心筋症の一種として知られており,構造タンパク質であるデスミン,あるいは低分子量ストレス蛋白質の一つであるα-β-クリスタリン(CRYAB)遺伝子に点変異あるいは欠損変異があると発症する。この疾患に関しては不明な点が多いが,筋細胞内に不溶性凝集体を形成することが特徴として知られている。われわれは,デスミン心筋症病態のモデルとして,α-β-クリスタリンの 120 番目のアルギニンをグリシンに点変異させた(Arg120Gly,以下 R120G)CRYAB を心臓特異的に発現させたトランスジェニック(TG)マウスを作製した。この R120G CRYAB TG マウスでは,野生型CRYAB TG マウスと比べて心臓の大きさが約 2倍になり,心筋細胞内に HSPB5 陽性の不溶性凝集体が蓄積することが確認されている。R120G CRYAB TG マウスの心筋内では,変性タンパク質(unfolded protein)の凝集過程の中間体として産生される amyloid oligomer が発生すること,および amyloid oligomer が心筋症病態の重症度に相関することが明らかになっている。amyloid oligomer の心筋毒性の機序としては,変異 HSPB5 が蓄積し,amyloid oligomer が発生する。その amyloid oligomer がミトコンドリア膜に障害を引き起こすことにより,心筋細胞死が起こり,最終的には心機能の低下による心不全発症,もしくは致死的な不整脈に至ると考えられる。本研究では,CRYAB R120G TG マウスを用いて,心筋症病態へのミトコンドリア障害の関与と,それに対するニコランジルの心筋保護効果を検討した。
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