肝動脈化学塞栓療法(TACE)により左肝静脈腫瘍栓を含めて完全壊死に陥った肝細胞癌の1切除例

2011 
症例は70歳,男性.慢性C型肝炎併存肝細胞癌に対し,平成19年2月肝S8亜区域切除,S3部分切除術を施行.その後,肝S3辺縁に再発し,平成19年7月から肝動脈化学塞栓療法(transhepatic arterial chemoembolization;TACE)や経皮的エタノール注入療法を繰り返し行っていた.平成21年11月のCT上,S3肝腫瘍は増大し,左肝静脈内腫瘍栓(hepatic vein tumor thrombus;HVTT)を認めた.TACEを行った後,12月手術を施行.術中,HVTTは左肝静脈根部付近までみられたが,左肝静脈根部での処理が可能であり,肝外側区域切除術を施行した.摘出標本の病理組織学的検討でS3肝腫瘍およびHVTTは完全壊死に陥っていた.肝静脈腫瘍栓を伴う肝細胞癌は予後不良であるが,術前TACEによるHVTTを含めた腫瘍の完全壊死のみられた肝細胞癌症例の報告はみられず,治療戦略を考える上で貴重な症例と考えられた.
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