化学療法中にTrousseau 症候群を来した胃癌の3 例

2013 
胃癌の化学療法中にTrousseau 症候群を来した3 症例について報告する。症例1: 43 歳,女性。4 型残胃癌,cT4b-N2M1P1/stage IV に対し一次治療としてS─1/CDDP(SP)併用療法を施行中に,左半身麻痺が出現し,CT 検査にて右頭頂葉に脳出血,MRV 検査にて上矢状洞~右S 状静脈洞血栓症を認めた。症例2: 59 歳,男性。3 型胃癌,cT3N1M0H1/stage IVに対し二次治療としてS─1/CPT─11 併用療法を施行中に失調性構音障害,左下肢麻痺が出現し,MRI 検査にて右大脳半球に多発脳梗塞を認めた。症例3: 67 歳,女性。3 型胃癌,cT4aN1M0/stage IIIA に対し術前化学療法としてSP 療法を施行中に右小脳失調,眼振,右顔面神経麻痺を認め,MRI 検査にて右小脳,中小脳脚の多発脳梗塞を認めた。いずれの症例も抗凝固療法を行い,化学療法を再開し,脳卒中の再発は認めなかった。坦癌患者は,凝固系が活性化していることが多いため,定期的な凝固検査や脱水の予防を行い,脳卒中の発症に注意する必要がある。
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