新規非ステロイド性抗炎症薬(±)-N,N-dimethylcarbamoyl-methyl 2-[7-(2-methyl-5H-[1]-benzopyrano[2,3-b]pyridyl)]propionate(Y-23023)の鎮痛・抗炎症作用

1995 
新しい酸性非ステロイド性鎮痛・抗炎症薬,Y-23023の急性,亜急性および慢性の疹痛,ならびに足腫脹に対する作用をラットを用いてカラゲニン足浮腫法,硝酸銀関節炎法およびアジュバント関節炎法で検討した.カラゲニン足浮腫の急性炎症性痔痛(Randall-Selitto法)に対する予防実験で,Y-23023(0.3~3mg/kg,p.o.)は,用量に依存して有効率の高い鎮痛作用を示し,足浮腫を強力に抑制した.カラゲニン注射2時間後にY-23023を投与した治療実験では,足浮腫に影響を与えず,低下した癒痛閾値を回復させた.また,Y-23023の鎮痛作用はナロキソンで拮抗されず,プロスタグランジンE2で減弱することから,作用点は末梢性で,プロスタグランジンの産生阻害作用をその機序と考えた.硝酸銀関節炎(屈曲法)に対しても,Y-23023は用量に依存した有効率の高い鎮痛作用を示し,ジクロフェナクナトリウム,インドメタシンおよびロキソプロフェンナトリウムに比べ強い活性を示した.また,アジュバント関節炎を用いた慢性関節炎癒痛(Randall-Selitto法)および足浮腫に対して,アジュバント注射後15日目から投与したY-23023(0.3~1mg/kg/day,p.o.)は,ジクロフェナクナトリウムおよびインドメタシンと同程度で,ロキソプロフェンナトリウムに比べて強力な鎮痛・抗炎症作用を示した.以上の結果から,Y-23023は特に急性および亜急性痔痛に対して強力な鎮痛作用を示し,鎮痛・抗炎症剤として有用な薬剤となり得ると考えた.
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