超高齢者(80歳以上)肝細胞癌切除例の検討

80歳以上の超高齢者肝細胞癌患者6例に肝切除を行った結果を報告する．男性3例女性3例，HCV抗体陽性2例・HCV抗体陰性かつHBs抗原陰性（非B非C）4例であった．6例とも肝障害度Aであったが，高血圧症4例・糖尿病2例などの併存疾患がみられ，さらに3例に他臓器悪性腫瘍の合併が認められた．術式は部分切除3例・亜区域切除2例・右葉切除1例で，術後合併症は重篤なものはなかったが5例にせん妄が認められ，術後平均在院日数は24（17∼34）日であった．超高齢者では全身状態も含め手術適応の決定には慎重さが求められるが，安全に手術を遂行することができた．予後は，C型の2例は残肝再発から肝癌死したが，非B非C型の4例は無再発生存中で，うち2例は10年以上経過している．超高齢者でも非B非C型肝細胞癌では切除により，C型よりも長期生存を得られる可能性があると考えられた．