痛みに対する抗うつ薬投与の実態・有用性・限界

2020 
疼痛に対する薬物療法において,対象患者の精神疾患や心因の有無にかかわらず, 神経障害性疼痛に対しては,(多くは保険適応外ながら)しばしば抗うつ薬が奏効するこ とが知られている。また,疼痛に伴う抑うつ症状,不安症状が明らかな場合には,うつ病 や不安障害の存在も視野に,抗うつ薬の適応も検討すべき状況がある。ただし,慢性疼 痛,特に遷延する心理社会的疼痛に対しては抗うつ薬をはじめとする薬物療法は奏効しな いことが多く,薬物療法はあくまで補助的な治療手段のひとつと認識し,限られた医療資 源を駆使して,実施可能な運動療法や認知行動療法などの非薬物療法を主体に治療メ ニューを構築すべきである。本稿では,特にプライマリケアの疼痛治療において抗うつ薬 が必要とされる状況や,それに関連する医学的根拠を中心に概説する。 臨床精神薬理 23:981-987, 2020 Key words ::pain treatment, antidepressant, primary care
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