Mechanism of the cholesterol-lowering effect of sevelamer hydrochloride, a novel phosphate binder

2003 
カルシウム (Ca) およびアルミニウムを含まない新規ポリマー性リン (P) 吸着剤であるsevelamer hydrochloride (sevelamer) の健常人および透析患者で認められる血中コレステロール (CHOL) 低下作用機序を動物を用いて検討した. 正常ラットおよび正常ハムスターにsevelamerを7日間混餌投与し, 血中P, Ca, 総CHOL (T-CHOL), HDL-CHOL, 総胆汁酸 (TBA) 値ならびに糞中TBA排泄量を測定した. また, ラットを用いた試験では糞中PおよびCa排泄量を測定し, PおよびCa摂取量よりそれぞれの吸収率を算出した. その結果, ラットおよびハムスターにおいて, sevelamerの投与により糞中TBA排泄量の増加に起因した門脈血中のTBA値の低下が認められ, かつ, ハムスターでは血中T-CHOL値の低下が観察された. このとき, HDL-CHOL値は影響を受けなかったため, (LDL+VLDL)-CHOL分画の低下が認められた. さらに, ラットおよびハムスターにおいて血清P値の低下が, また, ラットにおいて糞中P排泄量の増加に伴う摂取Pの吸収率低下ならびに糞Ca排泄量の低下に伴う摂取Caの吸収率増加が観察された.以上の結果は, sevelamerのP吸着剤としての主薬効を裏付けるとともに, sevelamerが腸管内でPを吸着した結果, 腸管内でフリーのCa2+濃度が上昇しCa吸収が亢進したことを示唆する. また, sevelamerの血中CHOL低下作用は, 消化管内で胆汁酸 (BA) を吸着し, BA再吸収を抑制することに基づくことが明らかとされた.
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