[Specialized tertiary care facilities for adults with congenital heart disease in North America and the United Kingdom: future directions in Japan].

近年,先天性心疾患患者は外科手術,内科診断治療 の恩恵を受け,その 85%以上が成人となっている. 術後患者で,継続的な経過観察の必要がない患者もい るが,多くは術後も遺残症,続発症,合併症などが認 められ,継続的な専門的観察を必要とする.また, 心室中隔小欠損孔のように手術を必要としない場合, また,Eisenmenger症候群のような手術不適応で継続 的治療を要する患者もその多くは成人期を迎える. これらの成人患者は小児期と異なり,再手術,不整脈, 後天性心疾患の合併,高血圧,就業,生命保険,心理 社会的問題,結婚,出産,喫煙,飲酒,遺伝などの成 人期特有の解決(治療)すべき問題点をかかえているこ とが多い. 専門施設での経過観察を必要とする成人先天性心疾 患患者数は飛躍的に増加し続けており,世界中で1年 間に約150万人の新しい成人先天性心疾患患者が生じ るという.我が国も,同様に成人先天性心疾患患 者数が年々増加すると考えられる.また現在,成人先 天性心疾患患者数の増加に伴い,先天性心疾患の成人 患者数は小児患者数とほぼ同数と報告され,近いうち にこの数は逆転するとされている.これらの患者は, 循環器小児科医が継続的に経過観察を行っている場合