腎摘出後27 年経過し膵臓転移を認めた腎細胞癌の1 例

2013 
症例は78 歳,男性。尿閉を主訴に当院救急外来を受診。泌尿器科の尿細胞診にてclass III であり,腹部造影CT 検査を施行したところ膵臓内に2 か所の腫瘤を認め,外科紹介となった。既往歴は27 年前に右腎細胞癌(病期不明)に対し,右腎摘術を施行。CT 検査上,膵頭部に径35 mm 大のhypervascular mass と膵体部に径20 mm 大の膵管拡張を伴い囊胞性腫瘤を認めた。腹部症状ならびに黄疸などの血液検査上の異常所見は認めなかった。膵頭部のhypervascular mass に対する後出血のリスクも高いこと,膵体部の腫瘍は腫瘍位置からEUS─FNA は施行できなかった。膵頭部腫瘍は内分泌腫瘍や腺房細胞癌が,膵体部腫瘍はこれらの変性を伴う同時多発癌,粘液性囊胞腺腫ならびに囊胞腺癌などや分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm: IPMN)などが鑑別にあがった。膵体部の腫瘍は特に主膵管拡張を伴っており,IPMN の可能性を考慮するとわずかな膵尾部を残すことはmalignant potential を残すこととなるであろうと判断し,膵全摘術を選択した。摘出標本にて膵頭部・体部の腫瘍はいずれも腎細胞癌の膵転移であった。本症例は他に転移を認めず,腎摘出後27 年に発見されており比較的まれな疾患である。若干の文献的考察を踏まえ報告する。
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