Factors for weight loss in patients with senile dementia

1993 
老年期痴呆患者にみられる体重減少の要因を男女別および病型別に検討し, また非痴呆患者とも比較した. 対象は経口摂取している入院患者で, 痴呆患者81例 (平均年齢±標準偏差: 80±8.3歳, 範囲55~97歳) (男: 22例, 78±9.7歳, 女: 59例, 82±7.7歳), 一方対照は脳血管障害, 心疾患などの非痴呆患者77例 (82±9.1歳, 58~96歳) (男: 29例, 77±9.4歳, 女: 48例, 85±7.7歳) であった. なお痴呆は経過, 神経症状や徴候により, Alzheimer 型 (SDAT) 48例と多発梗塞型 (MID) 25例とに分けた.結果は, 痴呆群の体重変化は1年間で平均-1.8±8.5%, 非痴呆群は+4.4±6.3%で, 両群間に有意差 (p<0.0001) を認めた. 痴呆患者の男女別の比較では各々-2.1±6.7%, -1.7±9.1%で有意差はなかった. 一方痴呆男性においてSDATはMIDに比し有意の体重減少 (-5.0±5.1% vs +3.3±4.2%, p=0.003) を認めたが, 女性のSDATとMIDとの間には有意差はなかった (-1.9±9.3% vs -0.5±9.9%, p=0.61). なお痴呆男性のSDATとMIDとの比較で, 俳徊患者あるいは合併症を有する患者を除いてもやはりSDATがMIDより有意な体重減少を示した (p=0.03).これら痴呆患者の体重変化は, 年齢, 年間食事摂取量, 入院期間, 血清 Albumin などと相関せず, 一方, 体重 (r=0.26, p=0.014), 日常生活動作 (ADL) 指数 (r=-0.22, p=0.04) (ADLの不良な患者ほど体重減少を示す), Mini-Mental State Examination (MMSE) スコア (r=0.23, p=0.048) と有意の相関を示した. また重回帰分析では体重減少の説明要因として, 痴呆男性では脳萎縮の指標である CT-Scan 上の頭蓋脳容積比 (偏相関係数0.58, p=0.015) 一方痴呆女性では血中甲状腺ホルモン (FT3) (0.31, p=0.023), 体重 (0.26, p=0.065), MMSE (0.25, p=0.076) が有意な要因であった.以上より, 痴呆患者は非痴呆患者に比して有意の体重減少を示し, 特に男性SDAT患者において顕著であった. 原因として加齢, 食事摂取不足, 俳徊によるエネルギー消費の増加, 合併症による異化亢進などでは説明されず, 因果関係は不明であるが脳萎縮や痴呆重症度との相関を認めたことから, 痴呆疾患に固有の要因が関与している可能性も考慮された.
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