FOLFOX・FOLFIRI 療法施行大腸癌患者における味覚障害の発現状況とQOL への影響
2009
FOLFOX・FOLFIRI 療法を施行されている大腸癌患者において,味覚障害を訴える患者を多く経験する。今回われわれは,FOLFOX・FOLFIRI療法施行大腸癌患者での味覚障害の発現状況とQOL への影響について調査した。味覚障害の発現状況を調査した結果,58.1%(18 例/31 例)において味覚障害が発現していた。そのうち50.0%(9 例/18 例)で味覚障害が食欲に影響していた。味覚変化の状況としては,鈍感に感じる患者が多かったものの,敏感になったと訴える患者もいた。甘味,塩味,苦み,酸味,うまみのいずれの味覚についても変化を訴える患者がいた。また,QOL 調査票(Quality of Life Questionnaire for Cancer Patients Treated with Anticancer Drugs: QOL-ACD)を用いて味覚障害のQOLに及ぼす影響について調査したところ,味覚障害が食欲に影響すると答えた患者では,味覚障害の発現してない患者と比較して有意にQOL が低下していた。FOLFOX・FOLFIRI施行大腸癌患者においては,味覚障害が高頻度に発現しており,食欲不振による低栄養状態はQOLの低下にもつながる要因になると考えられた。
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