1,2-ジメトキシエチレンと無水マレイン酸との分子錯合体とラジカル交互共重合
1966
1,2-ジメトキシエチレン(DME)と無水マレイン酸(MAnh)を混合するとき,黄色の着色がみられ,かつ室温において急速に熱重合して,交互共重合体を与える。この着色をp-ジオキセン(PD)-MAnh系で行なった方法,すなわち,Continuous Variation法および(1)式により分光学的に解析した結果,組成1:1の電荷移動型分子錯合体が生成することが確認された。D ME - MAnh の錯合体の分子吸光係数e3 と会合平衡定数K1 との積e3K1 はPD - MAnh 系のそれに比して1.5 倍ほど大きい。この原因にはDME - MAnh 系の錯合体の方がdative bond 構造の寄与が大きいことが考えられる。DME-MAnh系が非常に熱重合しやすいことから錯合体のこの構造の関与が考えられる。DME-MAnhのラジカル交互共重合で共重合速度の最大がMAnh 60 mol % の仕込モノマー組成の所にあるが, これは使用したDMEモノマーに約10%含まれているテトラヒドロフランの重合遅延効果によるものとみられる。また見掛けの共重合の活性化エネルギーが32.8 kcal / mol と通常の場合に比して10 kcal / mol ほど大きい。この原因はAIBN 開始の外に熱開始が関与しているためと考えられる。したがってDME-MAnh系の交互共重合はPD-MAnh系,ビニルエーテル-MAnh系のそれと本質的には同じ挙動を示すものとみることができる。
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