多施設における成人型アトピー性皮膚炎に対するケトチフェン(ザジテン®)の臨床効果の検討

1993 
九州大学医学部附属病院皮膚科ほか12施設皮膚科の外来を受診したアトピー性皮膚炎患者113例にケトチフェンを平均8.3±4.3週間投与し血清中サイトカイン値の変動, 皮疹部の好酸球脱顆粒タンパクの沈着パターンの変化と臨床効果との関連性について検討した。 1. 最終全般改善度の推移では「中等度改善」以上で76.1%, 「軽度改善」以上で93.8%と高い改善率を示した。また週別全般改善度の推移では「中等度改善」以上が4週後58.2%, 「軽度改善」以上において, 2週後で87.6%の高い改善率を示した。 2. 安全度においては, 113例中19例(16.8%)に軽度(17例)∼中等度(2例)の副作用(眠気18例, 頭重感1例)が出現した。 3. 白血球分画中の末梢血好酸球数の推移はケトチフェン投与により有意な減少を示した(6%以上の群においてp<0.0001)。しかし, 血中ヒスタミン値, IgE, IgG4値については有意な変動はみられなかった。 4. 今回検討した症例の約20%に血清IL-2の高値がみられ, ケトチフェン投与後に正常化する傾向がみられた。 5. ケトチフェン投与前後での皮膚生検標本の比較において, 投与後では好酸球浸潤の明らかな減少がみられたが, 好酸球脱顆粒タンパク(ECP)の沈着は依然真皮に散見された。
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