Glycosylated hemoglobin in patients with chronic renal failure on intermittent hemodialysis
1985
我々は慢性腎不全透析症例におけるglycosylated hemoglobinをYueらの方法に準じたアフィニティークロマトグラフィー法 (AC法) とイオン交換樹脂を用いた高速液体クロマトグラフィー法 (HPLC法) により測定し比較検討した.慢性腎不全透析症例45名 (HD群糖尿病症例22名, 非糖尿病症例23名) と腎障害のない非透析症例43名 (Non-HD群: 糖尿病症例21名, 健常者22名) を対象に, PBA30樹脂を用いたAC法によるglycosylated hemogbbin値 (G・Hb値), HPLC法によるHbA1a+b, A1c, A1値, ならびに血糖値 (PG) を測定した.成績は以下の通りである. 1) HD群, Non-HD群においてG・Hb値とHbA1a+b, A1c, A1各値との間に各々有意の正の相関関係 (P<0.001) を認めた. 2) HD群においてG・Hb値と透析前血糖値 (PG2h, すなわち朝食後2時間血糖値), 過去1カ月間の平均PG2h (PG2h) ならびに透析前後の平均PG (PG) との間に各々有意の正の相関関係 (P<0.001) を認めた. なお, 透析前後のG・Hb値に有意な差異は認められなかった. 3) HD群, Non-HD群においてG・Hb値とPG2hまたはHbA1値との間に各々有意の正の相関関係 (P<0.001) が認められたが, 両群の回帰直線間の差異より, 同程度のPGを有するHD群のG・Hb値や同程度のHbA1値を有するHD群のG・Hb値はNon-HD群に比し低値であった.したがって, 慢性腎不全透析症例のglycosylated hemogbblnは腎障害のない症例に比し低値であり, そのHbA1値にはAC法により測定されない腎不全物質の影響の存在が示唆された. また, 慢性腎不全透析症例におけるhemoglobinへの真のglycosylationを知るには測定時間の短縮や手技の簡便さでAC法の方がより有用であると考える.
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