化学分離/分光分析法による超高純度鉄, 鋼, 鉄-クロム合金などに含まれる超微量不純物元素の定量

2001 
最近, 従来の純鉄と異なる特性を示す極めて純度の高い鉄が作製されている. その特性は, 鉄中の不純物元素濃度が低減され, μg g-1 [ppm (m/m)] オーダーを切るようになったことと関係している. このような鉄中の37種類の超微量元素について化学分離を中心とした分析法を検討した. 更に, それら分析法を各種の鋼, 鉄-クロム合金, 非鉄金属試料にも適用した. 炭素は燃焼-赤外線吸収法で定量するが, 炭素空試験値の除去及び試料表面に吸着した炭素を除去できたので0.1μg g-1オーダーの炭素が定量できるようになり, 更に鉄試料の表面吸着炭素が定量可能になった. 硫黄も炭素の場合と同様に測定空試験値を減少させることができた. 酸素は, 試料洗浄などについて共同実験を行い, 分析所間の分析値の差をほとんどなくすことができた. Ag, Au, Se, Teは還元し, Pd共沈法により主成分元素から分離できる. この方法は多種類の金属や合金試料に適用できる. P, Asは水酸化ベリリウム共沈分離するが, この方法は主成分がEDTAでマスキングされる元素から成る試料に適用できる. V, Hf, Mo, Nb, Ga, Zr, Tiはクペロン沈殿分離, B, Siは気化分離, Al, Ba, Bi, Cd, Co, Cr, Cu, Mg, Mn, Ni, Pb, Ti, Znは4-メチル-2-ペンタノンによる抽出で試料主成分の鉄を分離することができる. 分離された微量元素は誘導結合プラズマ発光分析法, 黒鉛炉原子吸光法, 吸光光度法によって定量する. 以上の定量法による定量限界はほとんどの元素で0.1μg g-1であった. 超高純度鉄中の33種類の超微量元素をこれらの化学分離/分光分析法によって定量した場合, 定量値及び定量下限以下の元素は定量下限値を含有しているものとし, それらを合計すると12.551μg g-1となった. このことから分析した超高純度鉄は少なくとも99.9987%の純度を持ち, それ以上の純度があるものと評価できた.
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