腹水に多数の成熟扁平上皮細胞を認めたEmbryonal Carcinoma C群の1例

1985 
腹水中に成熟扁平上皮細胞を認めることは極めてまれで, 開腹時に採取した腹水に多数の成熟扁平上皮細胞を認めた報告はみあたらない.われわれは, 腹水中に多数の成熟扁平上皮細胞を認めた卵巣のEmbryonal Carcinoma C群の1例を経験した.症例は14歳の女性で, 腹部膨満を訴えて来院, 開腹したところ巨大な左卵巣腫瘍で約300mlの腹水を認めた.腹水の細胞診では, 白血球を中心としたきれいな背景に全く異型を認めない表層型, 中層型および傍基底型の扁平上皮細胞を無数認めた.扁平上皮細胞以外の腫瘍細胞は認めなかった.組織学的には大部分はMature teratomaであるが, 一部に未熟神経組織とEndodermal sinus tumorを認めた.9ヵ月間の化学療法後Second look operationを施行したが, Gliomatosis peritoneiを認めるのみで再発の所見はなく, 腹腔内洗浄液の細胞診で扁平上皮細胞は認めなかった.本症例の成熟扁平上皮細胞はImmature teratomaのなかの成熟扁平上皮成分の部分が破裂したことにより出現したと考えられ, それらの成熟扁平上皮細胞はSecond look operation時には消失していた.
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