c-Ki-ras癌遺伝子の点突然変異からみた同時性多発胃癌の研究

1993 
同一症例の胃粘膜から発生する同時性多発胃癌 (以下, 多発胃癌と略記) の特性について検討するために多発胃癌20症例42病巣のc-Ki-ras遺伝子 (以下, rasと略記) を検索した. 対照として単発胃癌, 胃腺腫も検索した.rasの点突然変異 (以下, 変異と略記) は多発胃癌20症例中7症例 (35.0%) に認められ, 単発胃癌の変異が56症例中6症例 (10.7%) に認められたのに比べ推計学上有意に高率であった (p<0.05). 多発胃癌20症例42病巣中の変異率は, 副病巣 (9.1%) よりも主病巣 (35.0%) に有意に高率に認められた (p<0.05).単発胃癌よりも多発胃癌, 早期癌よりも進行癌, 副病巣よりも主病巣と, よりmalignant potentialが高い病巣により高率に変異が認められ, 変異はmalignant potentialを現してると考えられた. また多発胃癌の副病巣で変異が認められた症例においては, 主病巣と違った変異形式が認められ, 多発胃癌における各病巣間での転移浸潤判定の一助になる可能性が示唆された.
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