B型肝炎ウイルスキャリア末梢血単核球におけるPHA, TPA刺激時のインターロイキン2およびインターロイキン2受容体(p55)遺伝子の発現

1990 
B型肝炎ウイルスキャリアにおけるインターロイキン2(IL2)/インターロイキン2受容体(IL2R)系の動態を解明する目的で,患者の末梢血単核球を培養しPHAとTPAで刺激した際のIL2およびIL2R(p55)遺伝子の発現の程度をNorthern blot法により検討した.B型慢性活動性肝炎(CAH)では15例中8例,無症候性B型肝炎ウイルスキャリア(ASC)では8例中6例において,PHA,TPA同時添加時のIL2遺伝子の発現が正常対照者に比して低下しており,特にHBe抗原陽性者では低下例が多かった.IL2R(p55)遺伝子の発現は,IL2遺伝子の発現が低下していた15例中5例(33%)で低下していた.なお,c-myc遺伝子の発現には各群間で差を認めず,また培養上清中のIL2濃度はCAH群では対照群に比し有意に低下していた.ASC,CAHのいずれにおいても,末梢血単核球におけるIL2,IL2R(p55)のwRNAレベルでの異常が認められたことより,B型肝炎ウイルス持続感染状態とIL2/IL2R系の異常が密接に関連している可能性が推測された.
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