Clinical evaluation of bicarbonate dialysis

透析液は緩衝剤としてacetateを含んだものが広く一般に用いられている. しかし透析療法の対象拡大に伴って, 最近acetateに起因すると考えられる不利な諸症状の発現が報告され, bicarbonateを用いた血液透析療法が見直され, いくつかの施設で施行されるようになってきた.秋田大学で治療を受けている20例の慢性透析患者を対象として, acetate透析 (Ac透析) とbicarbonate透析 (Bc透析) をそれぞれ2ヵ月間ずつ交互に施行し, その間の臨床症状および血液検査, 生化学検査, 酸-アルカリ平衡などについて比較試験を行い統計学的処理により検討した. 酸塩基平衡はAc透析に比べBc透析によって速やかに改善され, 透析後もアシドーシス再起傾向も緩やかであった.Ac-intoleranceを思わせる透析中の不均衡症候群の発現は, Bc透析群において有意に少なく, 特に低血圧ショックの頻度は減少した. 除水量の他, BUN, クレアチニン, 尿酸などの除去効率に有意差は認められず, 肝機能, 血清蛋白などの検査値も著明な差は認められなかった.